組み合わせアプリgoodMatchesの公開から5ヶ月。ダウンロードも順調に伸びていてユーザの皆様に感謝しております。まだデータを入れることに躊躇している向きがあるようなのと、今回パワーアップして新バージョンを公開したので、そもそもの開発動機を記しておこうと思います。
三つの「公平さ」
テニスをし、クラブの運営などにも関わるようになって、公平さって何よと今更ながら考えるようになりました。こと組み合わせとなるとプレイヤーそれぞれに色々思いや嗜好があって、どう組んでもどこかから不満が出るものです。古典的ではありますが軋轢は、主に実力を重んじる人たちと平等を重んじる人たちの間で生じます。実力順に組めば平等主義者から、ランダムに組めば実力主義者から不平が出ます。前者も大抵はコーチ主導だったりするので、本当に実力主義かどうかも眉唾です。贔屓があると訴える人にこれまで何人も出会いました。大袈裟に言えば独裁主義と共産主義の戦いもここにはあるわけです。
正直テニスは階級闘争なしで行きたいですよね。と言って贔屓を訴える人が、では完全ランダムにしましょうで満足するとも思えません。どういう形が公平なのでしょう。テニス、特にダブルスのいいところは、どんなに個人のレベルで差があっても、組み方次第でそれなりに彼我の実力が均衡するところです。20点の人と80点の人が組めば、2人とも50点の人と、それなりにいい試合ができます。我がアプリgoodMatchesの組み合わせの基本原則はここにあります。第一回目の記事で書きましたが組み合わせのいわゆる場合の数は、8人でも数百、16人もいればほぼ「無数」に存在するので、(組み合わせを網羅することは難しい一方で)均衡した組み合わせを見つけることはそれほど難しいことではありません。
データ重視
公正さという意味でもう2つ大事な点があります。一つは主観を排除することです。テニスのいいところは必ず勝負がつくこと、さらに実力から離れた結果は滅多に出ないというところです。結果さえ追っていけば実力差ははっきりします。逆に言えば性差も年齢差も体格差も、基本的には関係ない無差別級。テニスは結果のもとに平等なのです。goodMatchesは結果が最大の決定要素になるよう最大限の配慮をしています。レベルを初期設定せず、その代わり結果入力を推奨しているのはそのためです。もちろん判定にある程度のデータはどうしても必要ですが、goodMatchesでは、たとえ全員が同じレベルからスタートしても、あるいは実力に沿わない初期判定をされても、本来の実力にレーティングが収束します。今回のバージョンアップではそうした実力とのズレをいち早く感知し収束を早めるようシステムを改めました。
休みの公平さ
もう一点は休みの順番です。これも突き詰めると、組み合わせという問題に逢着します。1人休みは単純です。何人集まろうが、つまり5人であろうと101人であろうと、人の数だけ休みのパターンがあるだけのことです。しかし休みが2人以上になるとそう簡単ではありません。例えば22人。休み方は実に22から2を選ぶ組み合わせで1900に達します。これが23人で3人休みだと大体3000通り。さらに「組合せ間の重複」という問題も生じます。22人で最初にあなたと太郎くんが、次は次郎くんと、やはりあなたが休まされたら、それは公正ではありませんよね。22人の場合、重複のない組み合わせのセットが同じだけあるので、公正を期すことはそれなりに簡単ですが、3人だとそうは行きません。例えば11人で3人休むとすると、休みに「余り」が出るのはすぐにわかりますね。3人ずつ3回休んで9人、まだ休んでいないのは2人です。それを必ず選んでもう1人を一組にして、その後はまた2回それと重複なしで組む。ただここでは重複のない組み合わせのセットは同じだけ存在せず、皆が同じだけ休んで「元に戻る」ことはないので、ここに完全に公平な方法はありません。そんなことまで気にしなくてもいいだろうと思うかもしれませんが、人は「自分がどれだけ休んだ」かは覚えているもので、「え、またですか」みたいなことになるのです。
まだあります、公平さの見方
最新バージョンでは休みの公正さにもより注意を払いました。ただ、ちょうどそのテスト中にこんなことがあったのです。「すいません、今日はちょっと体調が今ひとつなのでいつもより多めに休ませてください」。ここでまた私は、公平さって何よと唸ってしまったのでした。
公平さとは個人の都合や好みを最大限に考慮すること。現在の修正モットーです。今後はユーザベースへと軸足を移し自分の希望をできるだけ声にできるシステムに変えていくつもりですので今後もご贔屓を(あれ?)。
キーワード:テニス ダブルス 組み合わせ データ